2010年3月4日木曜日

卒展レポート / Graduation Exhibition Report



気づけばあっという間に卒展が終わってしまった…!展示方法や名刺作り、映像も毎日地味に手直しをしてて、開催期間中でさえも結局ジタバタしていた一週間。

「楽しかった」というより、なんだか「幸せだな」と思える、特別な日々だった。今回は「情報を伝える」事を優先した分、どこまで自分の個性を出せたかわかんないけど、その分過去に無い程、様々な年代の人に評価してもらい、話し合う事ができたよ。「わかりやすかった」という意見や「考えさせられた」という意見が、本当に多くもらえました。ありがたいです。

今回は「田中健一」としてではなく、1人の「デザイナー」として、良い結果が出せたような、そんな気持ち。わざわざ会場まで足を運んでくれた方、本当にありがとう!毎日会場にはいたけど、結構すれ違いも多くて、来てくれたのに会えなかった人、ごめんなさい。また次の機会に会おう!

今回は桑原賞という賞も頂け、なにやら卒業式にはメダルや賞状をもらって首席での卒業になるらしい…。全然そんなキャラじゃないし、大学の文句ばかり言ってるオレが貰うのは皮肉な感じもするけど、専攻を超えて、教授達に作品が認めてもらえた事は素直に嬉しい。

写真は最終日の講評の様子。資生堂、サントリーのデザイナーの方にも来てもらい、こんな沢山の人に作品を見られております。なんかみんな怖い顔して見てるから、こんときは不安だったー。(笑)

会場では、工芸(高校)の時の仲間に、県芸卒業生など、本当に色んな懐かしい人達と会って、色んなことを話して、本当に楽しかった。今工芸のデザイン科に通ってる後輩に当たる高校生や、当時の先生、(米ちゃん&塚田先生)にも会えて、今の高校の話を聞くのはなんだか不思議な感じだったな。(工芸のみんな、今は購買のモンテローザが無くなっちゃったらしいよ!笑)それと、前にも書いた、高校の卒展「心サミット」や、留学の際にお世話になった「ヨネちゃん」こと米倉先生に、褒めてもらえたのは、自分の中でとても大きかった。

オレの作品は上の映像「JAPAN - The Strange Country」です。今回はWebにアップしようか迷っていたけど、来てくれた多くの方からも、もう一度見たいと言ってもらえたので、アップしました。(このままでも見れるけど、右下「Vimeo」の文字からリンク先に行くと、HD画質になってフルスクリーンでもキレイに見れるよ。)展示の時の液晶テレビ程色はキレイに出ないけれど、是非見てみて、また感想ある人、教えてね。英語版の方も近いうちに圧縮してVimeoにアップします!

------------------------------

今回は慌ただしくてあんま写真撮れなかったけど、ここからは勝手に2010卒制レポートします!勝手なコメントも書いてみました。今回のブログはとっても長いので、コーヒーでも用意して、飲みながら読んどくれ。笑


全然写真じゃ伝わらないけれど、曽根ちゃんの精密な、鉛筆の粉と紙だけの世界、「灰色の宝石」から一作品。誰もが使う「鉛筆」という素材だけで、誰も描けない絵を描く。「見つけたんだ。」って思った。個人的にはこの新作が一番好き。本当に、本当に綺麗。©曽根若菜/Wakana Sone



鈴木春香ちゃんの「interior of the Universe」。これも、本当に綺麗な世界。紙を切るという単純な事の積み重ねで、こんなことができるんだなぁ、と単純に感動しちゃう。全く異なった形のレイヤーが、透けて重なり合ってる部分が想像以上のおもしろさを持ってると思った。この作品は、毎日遅くまで根気よく作業していた彼女の成果だと思う。ただ展示方法だけはちょっともったいなかったかも。
©鈴木春香/Haruka Suzuki




荒関さんの、シャープなグラフィック作品、「mol」。分子構造の持つ科学的な美しさに、パターンを与える。白黒のパターンは、ありふれているハズなのに、これは新鮮な着地点。単体でももちろん美しいけど、連作になる事で比べれたり、呼応し合って深くなる作品だと感じた。部屋に欲しい作品。
©荒関浩子/Hiroko Araseki



あいかちゃんのスツールとテーブル「tri-」特にこのテーブルは逸品。フレームのシャープな形状に、丸ガラスを載せてるのが気持ちいい。ファブリックの紺色もしっかりマッチ。接地面とかフレームの角の処理とか、細かい所を突き詰めれば商品化しても売れそう。©岡田愛可/Aika Okada


石神さんの「portraits」から一枚。レトロポップで、見た事ありそうで、見た事無い世界感。かわいさ×奇妙さの狙いは個人的にはかなり好き。その差が一枚の絵の中で激しくなっていくほど、面白味が出るのかも。写真じゃ見えないけどパネル横が金のレースってのもいい。この先どう絵が変化していくのか楽しみ。©石神智佳/Tomoka Ishigami


社長の新作紙芝居「縁側の理解者」&持ち運べる紙芝居フレーム。彼の世界観は、実は突拍子も無く不思議なのだけど、それが紙芝居というメディアだと、すんなり受け入れれて、単純に、とても楽しい。話も今回のが一番楽しかった。縁側=世界の狭間のグレーゾーン、その発想力かなり好き。
©伊藤公一/Koichi Ito



言わずと知れたSTOMACHACHEことトモエちゃんの作品。どの作品にもしっかり自分の色が出てて、スケボーのランプを作っちゃうのも良かったし、卒制だからと気負わず好きな事をやったいい結果が出てると思った。相変わらず、味があってカワイイ絵を描くなぁ。なんだかくやしいけど、欲しいと思っちゃうものばかり。くそー。(笑)ブログもとてもカワイイ。http://stomachach.exblog.jp
©宮崎知恵/Tomoe Miyazaki (STOMACHACHE)


しょっさんの「超新星AMAND」もう、これは圧倒的な存在感…。なんて書くべきかよくわからんけど、とりあえず凄い。武器はチェーンソーみたいなのがガソリンで動くし、彫刻のディテールは半端無いし、仮面はマジックミラーになってるし、もう細かいこだわりだらけ。でもそんなヒーローが美術館を普通に歩き廻ってる図は結構不思議だったかも…(笑)でも記念撮影出来るというのは嬉しいね。
©伊藤翔太/Shota Ito



県芸のイケメン問題児タッチ。進みが遅くて前日までエアー展示だった時はどうしようかと思ったけれど、終わってみれば、これはお世辞抜きで、本当に良い絵本になっていた。単純に良い絵をいつも描いてるけど、感情移入ができたり、微妙な表情を狙って描く必要性のある絵本は違う角度から絵や作家性が見れて、新鮮だったよ。主張しないけれど、さりげなく、絵を生かした装丁をしたポリにも脱帽。そして裏紙にあえて黄色を選択したところも良かった。それと、右下写真、左のウイスキーボトルは格別にイイ味出てる。©橘健太/Kenta Tachibana + 伊藤祐基/Yuki Ito

------------------------------

気ままに好き勝手書いてみました。他にも色んな面白い作品が、デザイン専攻にも、他の専攻にもあったんだけど、今回はバタバタしすぎて写真撮ってなかったのが残念。誰かいい感じに写真撮って記録してた人がいれば送ってほしいよ。卒展全体としては、今年はちょっと異質な年だったような気がする。照明作品みたいな小物のプロダクトはほとんど無かったし、なんだかちょっとだけダークというか、シュールというか、昔の物だけが持つ「味」のような、変わった色がある学年だったのかな、なーんて今更ながら思う。

長かった学生生活も、ついに終わりが近づいてる。
昨日学校まで運転しながらミスチルを聞いてたら、この学校に向かう道や、この街ともお別れだと思ってちょっと泣きそうになった。
仕事をする準備はできてるけど、この3月は長く感じれる一ヶ月にしたいと思う。

------------------------------

で、終わりかと思いきやここからはまた自分の話。(笑)
今回は卒展ということで、多くの人が来るのもわかってたからしっかりとプロモーションツールを作りました。今更だけど、せっかくなので綺麗に写真を撮ってみたよ。

まずは今回メインで時間をかけて作った名刺。(というか自分フライヤー。)納期や運送日の計算ミスで、卒展最終日まで届かなかったという問題作。(笑)でもなんとか最終日には届いて良かった!人生初チャレンジの箔押しで、実験も兼ねてかなり贅沢に箔使っちゃいました。ケナフ紙に単色黒が思ったより出なくって、実物はこの写真よりコントラストがかなり低いグレーになっちゃったけど、でもやりたかったことができて満足してる。いっぱいあるとお金持ちの気分になれます。(実際はこれのせいで貧乏ですが。笑)かなり発注して沢山あるので、欲しい人は次回会う時に言ってくださいな。


そしてこっちは金の名刺が届くまで使おうと自分で作ったOHP名刺。一時的に使うだけのつもりだったんだけど、いい感じにシンプルになって、これはこれで気に入ってる。自分で刷るとカラーバリエーション豊富にできていい。こいつは特に重ねると綺麗で楽しい。


あと、これは無印良品だけど、ゲストブックと題して感想ノートも作ったよ。転写で刷るまで黒地に黒インクがどう載るかわかんなかったんだけど、やってみたらかなりいい出来でした。まだ作ったばかりのアイコンだけど、色んなアイテムに使うと、しっかりブランディングされてるみたいで嬉しくなるね!

------------------------------

最後になってしまったけど、感想ノートにコメントを書いてくれた方々、どうもありがとう!温かいコメントが多くて、本当に勉強になり、嬉しかったです。ちょっとした宝物になりました。大切にして、何か迷った時に読んでやる気を出そうと思います。

なんだかダラダラと書いてしまったけど、最後まで読んでくれていたらどうもありがとう。
卒展は終わったけど、やりたいことも結構あるから、またちょくちょく作品アップします!

Cheers,

Kenichi

15 件のコメント:

  1. いよいよ、本格的にさみしくなってきた。

    名刺、黒いとこちゃんと塗って飾ってあるよ!

    返信削除
  2. おっ!ナイスのだ!嬉しいよ ;)
    黒いとこ何で塗った?水性ペン?オレが今日使ったペンはなんだかムラになっちゃうから、広い面積を手早く綺麗に塗れるアイテムを探してる。

    のだも就職は東京だな。待ってるよ!

    返信削除
  3. のだは黒の油性ペンでひたすらちまちま塗ってた◎
    就職…頑張る!待ってて!!

    でも早速夏あたりに、ビンタ出張で東京いくかもね(笑)

    返信削除
  4. え!!油性であれ全部塗ったって事?鬼の作業量だな、オレの名刺なのに(笑)金の部分は渇かないうちなら拭き取れるっぽいからその方法で考えてたけど…。逆に参考になりませぬ。

    就活の時はポートフォリオ厳しくチェックするよ!
    もしかしたら出張多すぎて破産かもね(笑)

    返信削除
  5. 久しぶり。私も、残り1学期で卒業ってとこまでこぎつけたよ!!来学期はついに私もThesisだよ・・・今から超焦っています↓↓今学期のタイプのクラス、いっつも『ケンイチくんいたら、超楽しんでただろうな』って思います・笑。Experimental typographyだよ。私は、苦手なほうだから、悪戦苦闘しながら頑張ってるけどね・・・あはは。てか!!名刺下さいな♪

    返信削除
  6. マイちゃん久しぶり ;P コメントありがとう◎ 
    そうかー、残り1学期で卒業!?なんだか不思議。あっという間だね!

    Experimental Typographyだなんて!オレはマジで受けたいー!!(笑)たぶんCCAはアメリカの芸大の中でもTypographyの教え方が変わってて、でもすごい強いから、学んだ分将来の強みになると思うよ。頑張って!
    Thesisは「何をやるか」にずいぶん悩んで時間をとられちゃったから、もし時間があって、今学期中から考えはじめれば後が楽かも…。(ってCCAがそんな暇無いくらいめちゃ忙しいの知ってるけど…笑)

    名刺は送ろうか?それかいつか会えたら渡すね。
    応援してるよ、頑張って!

    返信削除
  7. もりなだよ!!卒展お疲れでしたー☆
    とっても楽しませていただきました。
    やっぱり皆様凄いですね。

    てか、箔押しの名刺が素敵!!
    ・・・それ見てないけど、置いてあった??
    OHPのは頂戴しましたけど。。
    ちょっと悔しい(笑)

    あーやっぱり田中君のセンス羨ましいー。
    これからも素敵な作品を作り続けて下さいね☆

    返信削除
  8. もりなコメントありがと!
    あの時はなんか皆に会えるタイミングがおもしろかったよね!笑

    みんな変わってるよねぇ。なーんて、しみじみ。
    箔押しの名刺はオレが納期ミスっちゃって、最終日の、しかも後半に届いたんだ…泣

    次回なにかで会うときに是非貰って下せぇ。。

    うん、作るのだけは今も大好きだからね、みんなに素敵だと思ってもらえるものが作れるように頑張るよ!;)

    返信削除
  9. 卒制おつかれ〜。

    群を抜いての完成度でした。

    できたら今月中に飲もう!!!!!!!!!!!

    マヨねえから金ピカ名刺もらったよ。さんきゅー。


    キャップでした。

    返信削除
  10. キャップありがと!

    おう、飲も!!!
    ただ、とりあえず早く家を見つけないと…!
    焦ってきたわ〜。笑

    これからもヨロシク、先輩!!!!

    返信削除
  11. なんと、けんけんのブログに私の作品が!嬉しい!!
    そして「誰もが使う「鉛筆」という素材だけで、誰も描けない絵を描く」っていうコメントもすっごく嬉しい☆
    まだまだもっと年を重ねて、でも今の気持ちを忘れずに、描いていけたらいいな。

    とりあえず、お疲れ様だね!
    そしてこれからもお互いに「頑張ろうね<(^o^)>”」!(笑)

    返信削除
  12. そねちゃん!コメントありがとう!
    勝手に載せちゃってるけど許してね。笑

    そしてブログなのに気づけばなんだか偉そうに皆の作品にコメントしてしまったわ。笑

    曽根ちゃんのは、まさにその通りだと思っただけだよ。あれは曽根ちゃんの世界だもん。ね、大人になって、仕事とか始まったらきっと今みたいに単純な欲求だけで制作はできないんだろうけど、でも、そうありたい自分もいるよ。

    うん、お疲れさま。追いコン楽しもう、
    そして「頑張ろうね<(^o^)>”」+「(酔っぱらった)エヘ」!(笑)

    返信削除
  13. Kenichi さん、はじめまして。素晴らしい作品ですね♪
    パリ在住の日本人ですが
    このような外国人に受けるものは、私自身も大好き☆
    楽しそうな学生生活の雰囲気も伝わってきました、私自身は、LAにかれこれ
    大昔!に行ってた時代もあります。
    そして今はフランス。
    私の個人的なブログなんですが、そちらにこの件をアップしてもよろしいでしょうか?勝手にしてしまっては失礼と思い、ご連絡しました。
    フランス人の友人にも、さっそく送って見せましたが、かなり好評ですよ♪
    これからのご活躍を応援します。 パリより

    返信削除
  14. >匿名さん

    コメントありがとう!学生生活ということは、芸祭のビデオも見られたのですね、なんだか恥ずかしいですが。笑

    ブログには自由にリンクしちゃて下さい。ただ今回のメインターゲットは日本人の方で、当たり前ながらかなり内容は偏ってますから、外国の方には日本の良い所もちゃんと伝えて下さいね。(笑)

    応援メッセージ、励みになります!またなにか面白い反応などあった時には是非教えて下さいな。

    返信削除
  15. kenichiさん、はじめまして。私は日本に住んでいるイタリア人ですが、外国人の中でもそのビデオは今とても人気になりましたよ!
    卒業おめでとうございます。これからも頑張ってください!そちらの作品はクリエーティブ、clever, すばらしいと思います。
    私は4年間でおかしいことをいっぱい見ました(特に社会の問題)。日本の友達に言ったら、「文化違いだだから」とか「文句が言いたいだけ」と言うことしか言われないのですが、日本人もそう思うのはびっくりして、うれしいですね。
    日本で何も変えなくてもいいですが、そう言うおかしいことがあるのはわかるだけですごくいいことだと思います。日本人から言われたら、絶対に聞くと思います!!!
    イタリアの友達にも見せたいと思います!ありがとうございました。

    返信削除